< 科研費・新学術領域研究 採択研究課題(H24~H28)>
病気や障害など、困りごとを抱える人々同士の語り合いをうまくモデレートする方法のひとつに「言いっぱなし聞きっぱなしのルール」が知られています。これは元々、発達障害当事者研究コミュニティの活動の中から見出されてきたルールです(参考文献)。ここで特徴的なのは、ミーティング形式をとりながらも会話や反応を返すことを禁じており、相槌やアイコンタクトなども控えるようにされていることです。これによって、参加者全員が場の雰囲気を「緩く」共有しながらも、各自が自分の語りに集中することが可能となり、様々な効果が得られると言われています。
本研究では、この「言いっぱなし聞きっぱなしの原則」にヒントを得た、新しいタイプのSNSを開発中です。テキストチャットをベースとしたSNSですが、時間的・空間的に発言表示がバラバラにされており、発言同士の関係性が曖昧になるよう設計されています。現在、このSNSの開発を進めると同時に、このSNSが有効性を発揮する対象や場面の整理を進めています。
- 市川 嘉裕,田中 文英:言いっぱなし聞きっぱなしエージェントによる安定した語りの場の構築,第30回人工知能学会全国大会,北九州,2016年6月. [pdf, 648KB]
- Yoshihiro Ichikawa, Fumihide Tanaka: Displaying Speeches Method for Non-Crosstalk Online Agent, Proceedings of the 2016 AAAI Spring Symposium Series, pp.354-355, Stanford, USA, March 2016 [free pdf available at AAAI here, 1.1MB]
- 市川 嘉裕,綾屋 紗月,熊谷 晋一郎,田中 文英:発言同士の関係を曖昧にする発言提示方法の提案,情報処理学会研究報告,Vol.2015-ICS-180 No.5,pp.1-7,2015 [pdf, 1.1MB]
(2017.10.2 更新)