子どもとロボットの研究は、ヒューマン・ロボット・インタラクション(Human-Robot Interaction: HRI)という新しい研究分野の中でも非常に注目されている研究テーマです。ここには、発達科学への貢献などサイエンス指向の研究と、教育活動支援など工学的有用性指向の研究が表裏一体となって行なえる醍醐味があります。これまで我々は、本研究テーマにおいて世界的に知られる先駆的な研究活動を行ってきています。
代表的な研究として、以下の写真は、2004年~2007年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の付属保育所で行った、長期フィールド実験において撮影されたものです。ここでは、2歳未満の子どもたちが居る教室に、小型の人型ロボットを約半年間にわたり通わせて、子どもたちを飽きさせないロボットの必要条件を探索しながら、子どもとロボットがどのように仲良くなっていくかを様々な方法論から分析・調査しました。
本研究は世界中で注目され、学会のみならず数多くのメディアに報道されました。主要成果を記した下記の論文は、子どもとロボットに関する研究領域の代表的な一文献として、ロボット分野の枠を超えて、多くの方々に読んで頂いています。
- Fumihide Tanaka, Aaron Cicourel, Javier R. Movellan: Socialization between Toddlers and Robots at an Early Childhood Education Center, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA (PNAS), Vol.104(46), pp.17954-17958, 2007 [pdf, 801KB] [The movie files referred in this paper are also available at the PNAS web: here]
子どもとロボットの研究全般に関して、大事なことは、このテーマが社会の重要課題や人々の興味・期待と密接に関わるものであり、有意義な社会貢献につながり得る可能性を秘めていることです。それゆえ我々は、研究室の外に出て人々と関わり合い、一般の目線を持ちながら研究活動を行うことを重視しています。
(2017.10.2 更新)